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09 Sunny Side Up
作詞 / 作曲:前園直樹
編曲:前園直樹
ヴォーカル / 演奏:前園直樹
プロデュース:前園直樹
録音:2000年6月(*初出=自主制作盤『ORANGE BIKEの世界』)
ラテンとりわけボサ・ノヴァをベースにしたプログレッシヴ・ロック、そんなコンセプトで取りかかった楽曲。
長谷川きよしの初期の2枚のアルバム『一人ぼっちの詩』『透明なひとときを』をリサイクル・ショップで見つけてきて打ちのめされたのが1999年頃のことで、その影響がもっとも色濃く出ているのが「Sunny Side Up」だと思います。
そして、ベン・ワット。
<詩情あふれる音楽を奏でる人>という意味で、ぼくの中では長谷川きよしとベン・ワットは双璧をなす存在です。
なお、パーカッションのボンゴのように聴こえる音は、実はイノダコーヒの赤い化粧缶を叩いて録音しました。
毎年、春と夏には青春18きっぷで鹿児島・茨城間のレコード屋巡りを敢行、その際に立ち寄った京都市は三条通堺町の実店舗* で飲んだコーヒーを気に入ってしまい、以来、取り寄せていた時期があったので、部屋にはこの空き缶が転がっていたのでした。
10 くらしのたより / From Sardinia
作詞 / 作曲:前園直樹
編曲:前園直樹
ヴォーカル / 演奏:前園直樹
プロデュース:前園直樹
録音:2001年7月
アルバム制作の最後に録音した楽曲。作曲に取り掛かる時から、アルバムの終曲になることを意識していました。そして先にタイトルが浮かんだ時、アルバム自体のタイトルもそれにしてしまおうと即断したのでした。
書いた手紙を読んでいる、そんな形式をとった幻想的な歌詞を書いてみたいと思いたち、うまく当てはまる地名を探していた時、ヒデとロザンナの『イタリーの休日』に収録されていた大好きな曲「サルデニヤのかもめ(表記ママ)」を思い出しました。
サルデーニャとは、地中海に浮かぶイタリア領の島。
行ったことも、かの地の気候や風土について調べたこともありませんでしたが、じぶん自身でも想像のつかない地名でないとファンタジーにならないので、それでまったく問題はありませんでした。
Oh サルデーニャの 君も知らない街で
くらしのたより
きょうも続くくらしは こんな感じさ
そして地名を入れ込もうと思ったアイデアの元には、これまた大好きな、この曲の存在がありました。アメリカ西海岸と地中海の違い、というワケです。
ちなみに、サウス・カリフォルニア(→サルデーニャ)と歌う部分は、ベース・ラインも参考にしています。
そして、歌は最後、
これから始まる ぼくのはなしも
どうかひとつ
と、続きをにおわせてアルバムを締めくくり、そのまま20年が経とうとしています。
アイデアのストックもあったので、当時はそんなに間を置かず次作を発表できるだろうと思いこんでいましたが、ソロ・アルバムとしては、未だ『くらしのたより』一作だけのまま。
でも、遠い未来にも好きなことをダラダラと続けられていることを想像できていなかったのも事実。ここは、タラ・レバはなしで。
今後も、目の前の手掛けるべき作品と、何よりじぶん自身の意欲に忠実に活動していけたら、と考えています。
5回にわたりお届けしました、『くらしのたより』リマスター配信記念特集。
ご精読、ありがとうございました。
また、たいへんな時期にもかかわらず、コメントをお寄せくださった方々のご厚意と、インタヴューにプレイリスト作成に奔走してくれた山岡弘明くんのご協力にも、本当に感謝しております。
今後も、時折思い出し、拙作を再生していただけましたら幸甚です。
(了)