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鍵盤楽器<クラビネット>の表記を発見
弾いた記憶がないが、ともあれ結果的に不採用

03 低唱・高唱  / Angels
作詞 / 作曲:前園直樹
編曲:前園直樹

ヴォーカル / 演奏:前園直樹
プロデュース:前園直樹
共同プロデュース:佐藤勝紀
プログラミング:佐藤勝紀
録音:2001年7月

1曲目「冗談伯爵」同様、アルバム制作の終盤にレコーディングした楽曲。
MIDIのA&R久保田さんから受けた<ポップな曲を>という要請(インタヴュー参照)にもっとも応えられているのが、この「低唱・高唱」でしょう。

当時、ライヴでレギュラー出演していた水戸の月例パーティー<SOUND GALLERY>の雰囲気を活写したい、パーティー・アンセムとして機能させたい、そんな思いで制作したと記憶しています。

ロックンロールのクラシックな
グルーヴが流れる この場所で
悲しみも涙も 雨降りの憂鬱さも
きょうは音立てて 崩れ落ちる

低唱・高唱

といった具合に、歌詞においても<用途>を明確化させ機能性を重視。
グルーヴが流れる という表現は日本語としてどうなのか、という問題は、編曲の勢いで払拭することにしました。

完成直後。SOUND GALLERY で初披露した際、友人たちとのコール&レスポンスがクラブに響き渡った感激の光景は忘れられません。
SOUND GALLERY 自体はとても小さい規模のパーティーでしたが、「低唱・高唱」は<ハレ(晴)の場>で機能するダンス・ミュージック、いわゆる<キラー・トラック>を作ることの醍醐味を、身をもって知る楽曲になりました。

制作中の話も少し。
曲が出来上がり、最初のデモを聞かせた時に佐藤さんがレコード棚から引っ張り出したのが、コーク・エスコヴェド COKE ESCOVEDO の、かの有名なボクシングジャケ。そしてレコードをターンテーブルに置き針を落としたのがこの曲でした。

performed by COKE ESCOVEDO

続けてこんなレコードもかけて、
佐藤「こんなスキャット入れたくない?」
前園「お、イイですね。持ち帰ります」
(後日)
前園「どうでしょう?」
佐藤「採用!」
そんなやりとりがあったことも付記しておきましょう。

TONY WILSON / New Orleans Music

その他、ぜんたいの仕上がりはまったく異なりますが、ブラジルの歌手ドリス・モンテイロ DORIS MONTEIRO の『Agora』というアルバムの冒頭曲「Maita」のイントロ、ギターの複雑で美しい重なり方を研究し、参考にしたなんてこともありました。
最終的な仕上がりに顕著な影響は聴きとれないと思いますが、これはひじょうに有意義な試みでした。
なお、今回の配信リリースで初公開した「低唱・高唱(女子用DEMO)」においては、ギターの重ね方をぼくなりにさらに発展させて挑んでいます(それにしても、さいきんは楽器全般をほとんど演奏しなくなりました)。


トラック1の3階層目<後半SE> 、2の4<ラストに続くコマーシャル>
最終的には不採用になった要素。何を試みたのか記憶なし

04 Soft Musique

作詞 / 作曲:前園直樹
編曲:前園直樹

ヴォーカル / 演奏:前園直樹
プロデュース:前園直樹
録音:2000年6月(*初出=自主制作盤『ORANGE BIKEの世界』)

19歳の時(1998年)に制作した<ORANGE BIKE>名義のカセットに収録されていた曲の、大幅なリメイク版。
原曲は、トレイシー・ソーン TRACEY THORN 「Simply Couldn’t Care」を少し意識して書いた、ボサ・ノヴァふうの小品だったのですが。リメイクにあたって歌の部分のコード進行のみを残し、メロディ、歌詞、前奏、終盤(の仕掛け)など、すべて変えたので『ORANGE BIKE』版と『くらしのたより』版ではもはや同名異曲と呼べる仕上がりになりました。

TRACEY THORN / Simply Couldn’t Care

ともあれ、『くらしのたより』に横溢する<コラージュ感>を、もっとも具体的な形で表現しているのがこの「Soft Musique」なのでしょう。
イントロのギターとベースは、これらの演奏を大いに参考にしています。

参考音源云々はさておいての大傑作
小西康陽さんの著書『これは恋ではない』で知りました
水戸にあったレコード店<ロック・ボトム>にて購入
シアトルのマイナーグループ。これもファイヤー通り時代のハイファイで購入
著名DJのヘヴィープレイ曲収録、と紹介されてからは高額になってしまいました

そして、コーラスアレンジのモチーフにしたのは、こちらの間奏部分の掛け合いのパートでございました。

若気の至り。大胆不敵。何と言われようが、とにかく思いついたらやってみる。
その気持ちひとつで猪突する、そんな時期でございました。