●おたより、いただきました。
前園直樹『くらしのたより』リマスター配信記念

【掲載50音順 / 敬称略】


岡村玄(Smooth Ace)

その歌声と遭遇したのは
2008年、小西康陽さんに誘われてそれぞれが参加したコンピ盤
「うたとギター。ピアノ。ことば。」の制作で。
その出会いには今も感謝しています。
それ以来、ソロ~ゾニーズ~前園直樹グループ~冗談伯爵、と
形態と場所を変えながら今も届けられるその歌声はいつもすてきだ。
そして、それはこのファーストアルバムでも。
早熟で、孤高で、やさしくて、フレッシュ。その声にずっと惚れている。
また一緒に低唱高唱しましょう。


角谷博栄(ウワノソラ / ウワノソラ’67)

『くらしのたより』リマスター版のデジタル配信、おめでとうございます。
このアルバムのリリース時、前園さんが22才。僕が11才…。
今はリリース時の前園さんよりも年上になってしまいました。
僕が前園さんの存在を知ったのは、冗談伯爵という新井さんとのユニットからでした。
冗談伯爵の音楽のカッコよさに感動しすぐに音源を購入した記憶があります。
この度「くらしのたより」を聴かせて頂きまして、相変わらずの美声にはうっとりしてしまいます。
特に冗談伯爵の音源でも感じたことですが、シングルボーカルからのダブルボーカルへ変わる瞬間。
これにはかなりキュンとします。
トラックは、少しソフトロックの香りも漂いながら、前園さんの世界が展開されていきます。
個人的なお気に入りは3曲目の「低唱・高唱」です。
アルバムを制作していたのは19才の時ということで、当時の前園さんにどんな音楽にハマっていて、
どんな想いで作っていたのかインタビューしてみたい気持ちになりました。
想像ではかなり老成している青年だったのではと感じました。
これを機に前園さんの音楽が多くの方に届くと想うと嬉しい限りです。
それと…。2年前ぐらいにお二人にはお伝えしましたが、はやく冗談伯爵のアルバムリリースして下さい!(笑)
楽しみにさせて頂いてます。


ジミー益子(DJ / イラストレーター)
『くらしのたより』アート・ディレクション/デザイン担当

もう20年なの? 前園くんが水戸市斎場の近くのアパートでこれを作ってた風景を思い出すこともできるしロックボトム* のカウンターに店員でもないのにいつもいた姿を思い出すこともできるし名前すら思い出すことが出来ない大工町の地下のDJができるスペースでライヴを前にハードディスクの音源の頭出しにイライラしていた姿も覚えているけど、久しぶりに聴いても別にそんなことは思い出しもしなかった。この文を書くために思い出しただけ。
この瑞々しい音楽が20年前の作品ということはあまり関係ないし、どんな世代の人でも、いつ聴いても初々しい歌声とひとりぼっちの宅録ドキュメントはこころに届くだろう。
それがこんなに魅力的で個性的ならばなおさらだと思う。

* ロックボトム銀杏坂店。水戸中央郵便局近くにあったレコード屋


直枝政広(カーネーション)

寝食を忘れて部屋で録音に耽るという、究極のファンタジーに生きてきた人間なので<宅録作品>と聞くだけでドキッとします。
そんなふれこみのアルバムと出会えば気になってすぐに買っちゃうはずなのですが、前園くんのこの初期のアルバムをぼくはうかつにも知らずにいました。
音をいただいてから何度も繰り返し聴き、緻密に練り込まれた曲とアレンジの精度の高さに驚きました。
若き日の<青の時代>。パレットの上を彷徨った筆跡をそのままに残してある。そんな手触りがとても好きです。「Lime Light」「Balloon」「にがいぬくもり」なんて最高ですね。22才でこんなに上手に録音できてリリースして、また今、リマスターで出せるってとても素晴らしいことです。長く聴かれるべき作品だと思います。ぼくは心から感動しています。


松田”チャーベ”岳二(LEARNERS / Neil&Iraiza)

これ、、、2020年今の新譜ですよね?
もうなんというか、そういうことにしませんか? と言いたくなるほどフレッシュに聴かせてもらいました。”くらしのたより”というタイトルも前園さんの声も歌詞も勿論楽曲そのものも、今聴かれるためのような気がしてクラクラしてきました。
僕はただただ1人のポップマニアとして感動させて頂きました。


松永良平(リズム&ペンシル)

20歳のころの自分には会いたくなかった。正確にいうと、会いたくない時期が長かった。
希望を持って生きてたから。やりたいことだらけだったから。やりたいことだらけなのに、方法をまるで知らなかったから。まるで方法を知らないのに、こうしたらもっとよくなるとアイデアを詰め込んでばかりいたから。その判断のすべてがおさなくておろかだったなと思ってたから。
だけど不思議なもので、その20歳の川をもう一度渡ろうとしてる自分にいつの日か気がつくことがある。彼(俺)だけが自分のなかにいまもくすぶる青さを肯定してくれることに気がつく。そして彼(俺)には、もう二度となれない俺(彼)がいるということにも気がつく。あのとき彼(俺)はひょっとして正しかったのかもしれない。「まぶしさ」とは、そういう気づきからくる感覚なのだと思う。
前園直樹のデビュー・アルバムが、彼が22歳の年に出ていたことも、その1曲目のタイトルこそが「冗談伯爵」(この文章を読む人に知らない人はいないはずだが、冗談伯爵は前園くんと新井俊也さんが現在組んでいるユニットの名前)だということも、ぼくは知らなかった。20年も続いてるストーリーだったのか。頼まれてこんな文章を書いてるのに、何も知らずにお恥ずかしい。
だけど、ぼくはこのアルバムが放ってる「まぶしさ」についてはよく知ってる。正直、心当たりがありすぎて悶え死にしそう。だけど、聴き続けるのをやめられない。水戸のアパートの八畳間で積み重ねた音でできている「その胸のロコモーション」から聴こえる幻の青春を、きっと彼(俺)も生きていた。


矢島和義(ココナッツディスク吉祥寺店)

素敵なシンガーソングライターがいるんだよ、そんな風に言って友人がプレイボタンを押す。シャッフルビート。
あの日の瞬間を今、リマスターされた『くらしのたより』を聴きながらありありと思い出した。音楽は時を超える。


CXCA-1086

ダウンロード / サブスクリプション配信:2020年5月1日
オリジナル盤(CD)発売:2001年10月25日
レーベル:ミディ・クリエイティブ

01 冗談伯爵 [2020 remaster]  / Count Joke  [2020 remaster]
02 Lime Light [2020 remaster] / Lime Light [2020 remaster]
03 低唱・高唱 [2020 remaster] / Angels [2020 remaster]
04 Soft Musique [2020 remaster] / Soft Musique [2020 remaster]
05 Balloon [2020 remaster] / Balloon [2020 remaster]
06 にがいぬくもり [2020 remaster] / Bitter Warmth [2020 remaster]
07 ためいきばかりのブルース [2020 remaster] / Sigh Blues [2020 remaster]
08 その胸のロコモーション [2020 remaster] / Locomotion [2020 remaster]
09 Sunny Side Up [2020 remaster] / Sunny Side Up [2020 remaster]
10 くらしのたより [2020 remaster] / From Sardinia [2020 remaster]
11 低唱・高唱 (女子用DEMO) / Angels (DEMO for a girl)

作詞 / 作曲 / 編曲:前園直樹
* 05 08 編曲:前園直樹・佐藤勝紀

プロデュース:前園直樹
共同プロデュース:佐藤勝紀
レコーディング・エンジニア:前園直樹
ミキシング・エンジニア:千葉昭夫
マスタリング・エンジニア:北村秀治
リマスタリング・エンジニア:新井俊也
アート・ディレクション/デザイン:ジミー益子

『くらしのたより』の特集。目次